喫茶去(きっさこ)
朝から晩まで、あれやこれやと思い回らす心をひと休みして、お茶一服の味わいの中に、ひたっていると、一切のわだかまりも融けて、心も開放されて来るのです。
ある修行僧が悟りを啓いた高名なお坊さんを訪ねて、禅問答に挑みました。肩に随分力が入り、理屈・
理論を並びたてるその修行僧に、『まぁ、お茶でも一杯飲んで行きなされ』と爽やかに対応したと言う。
悟りを求めてあれこれと頭を使い、頭を悩ます事も大切だけれど、頭を使えば使う程に、悟りからは
遠くなりそうです。私達の日常生活でも、理屈・理論に拘って、頭で解決しようとしがちですが、落ち
着いて、お茶の一杯を体全体で味わえる、素直な態度、上下(かみしも)を脱いだ真っ白な心を持ち
たいものです。