2002.05.02
我々のOS
人間の脳はものすごく複雑精緻な動きをしてくれるが、そのOS(オペレーティングシステム)は、驚くほど単純だ。それは、口から出た言葉や単語をそのまま実行しようというOSなのだ。だから、「失敗」とか「悩み」とか、「敗北」とか「病気」などのネガティブ系の単語をたびたび使っていると、そうした現実を引き起こそうと、潜在意識が努力を始めてしまうのだ。それはホルモン分泌という形で努力を開始するのだ。失敗ホルモン、病気ホルモンを分泌する。逆の場合には、成功ホルモン、健康ホルモンを分泌するのだ。
また、注意しなければならないのは、我々のOSは、文法を理解できないということ。例えば、主語を認識しない。「アイツは失敗したらしい」と言った場合、「アイツ」という主語を 認識せず、失敗という現象や名詞だけをキャッチしてしまうのだ。また、否定語も認識しない。「失敗したくない」という場合、"したくない"を認識しない。だから"失敗"だけを認識してしまう。
このように至極単純なOSなのだが、鈍感でもある。一日や二日、なにかの暗示をかけたところで、すぐには何にも効果はでない。ところがある一定期間くり返してやると、一気に変わり始めるのだ。
否定的かつ破壊的な言葉を使ったときに分泌される、緊張系ホルモンは、我々の脳波をベータ波というものに変える。その結果、不安や不満、それにイライラの感情が募り、ストレスがたまる。それが病気の原因にもなる。
緊張系ホルモンの代表が、アドレナリンやノルアドレナリンなどで、人前に出てアガるときの気分や、車に轢かれそうになったときのドキドキ気分や、何かの心配事をしているときの、あの気分だ。
ネガティブな人とは暗い人のことではない。暗い人もいるが、一番多いのは、真面目で責任感が強い人だ。一人で背負いこむタイプの人は自分で想像している以上にネガティブな思考になっていることがあるので要注意だ。知っていることとやっていることとは別になっていることがあるのだ。その一方、肯定的かつ建設的な言葉を多く使っていると、リラックス系のホルモンがドバッと分泌される。感動と興奮の名画を見たときやテーマパークでわくわくしたとき、大型物件を受注した時のあのウキウキした勝利感は、ドーパミンやβ−エンドルフィンといったリラ ックス系ホルモンの作用だ。
緊張系とリラックス系いずれのホルモンを出すかを決めるのは脳である。その脳は、昨日申 し上げた単純なOSで動いている。あなたの言葉通りに動くのだ。つまり、あなたのフィーリングを決めているのは、あなたを取りまく状況ではない。あなたの思考だ。
よって、現実は不幸のどん底にあっても、あなたが明るい可能性と未来を信じてその一点を見ている限り、リラックス系ホルモンがあなたの全身を駆けめぐってくれるのだ。